はじめての遺言書で、賢く残すための20のポイント

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遺言書と聞いて何をイメージするでしょうか。資産家による遺産争いでしょうか。

実は最近では、広く相続対策として遺言書を活用するようになってきました。

データでも公正証書遺言の作成件数が増えています。

[公正証書遺言の作成件数]

  • 平成23年  78,754件
  • 平成24年  88,156件
  • 平成25年  96,020件
  • 平成26年  104,490件

引用│日本公証人連合会

そこで、はじめての方を対象とした、3つの遺言書の種類と、書き方のポイントを紹介します。

遺言書の3つの種類とメリット・デメリット

自筆証書遺言

遺言者がすべて自分で書いて、亡くなるまで自分で管理する遺言書

メリット

  • 手数料が不要なため、費用が抑えられる
  • 公証役場へ行く必要がない
  • 証人を立てる必要が無い
  • 簡単に書き換えることが出来る

デメリット

  • 法律上の形式を整えなければならない
  • 形式に不備があることで無効になる可能性がある
  • 相続後に家庭裁判所の検認が必要なため、相続手続きが遅れる
  • 誰かに遺言書の存在を伝えないと、遺言書が発見されない可能性がある
  • 遺言書の偽造、紛失、改ざんの可能性がある

公正証書遺言

専門家である公証人に作成してもらい、亡くなるまで公証役場で保管する遺言書

メリット

  • 公証人による代筆のため、法的不備の心配がない
  • 公証役場で管理されるため、紛失、偽造、改ざんの心配がない
  • 相続後の家庭裁判所の検認が不要なため、相続手続きがスムーズ
  • 証人がいるため、遺言書の存在を忘れられにくい

デメリット

  • 公証人へ支払う手数料が必要
  • 証人が2人必要
  • 公証役場へ行かなければならない ※寝たきりなどの場合は来てもらうことも可能
  • 簡単に書き換えられない

[公証人への手数料] ※2015年11月時点

財産額に対する手数料

  • 100万円まで 5,000円
  • 200万円まで 7,000円
  • 500万円まで 11,000円
  • 1,000万円まで 17,000円
  • 3,000万円まで 23,000円
  • 5,000万円まで 29,000円
  • 1億円まで 43,000円

1億円を超える部分については次の金額が加算されます。

  • 1億円を超え3億円まで 5,000万円毎に13,000円
  • 3億円を超え10億円まで 5,000万円毎に11,000円
  • 10億円を超える部分 5,000万円毎に8,000円

引用│日本公証人連合会

遺言書の有無は公証役場で遺言検索をしよう

遺言書の存在を知らされていない場合でも、遺言書がどこかに存在している可能性もあります。

そのため、相続人は、相続が発生したら遺言書を探さなければなりません。

亡くなった人が貸金庫を借りていた場合は、貸金庫の中身を確認しましょう。

また、公証役場で遺言書を作成している場合は、近くの公証役場で遺言書を検索してもらえます。

ただし、遺言書検索ができるのは、相続人や相続人の代理人に限られています。

秘密証書遺言

自分で遺言書を作成し、封印したものを公証役場で公証してもらう遺言書

メリット

  • 自分で作成するため、中身を秘密に出来る
  • 署名以外は、代筆やパソコンでの作成が可能
  • 証人がいるため、遺言書の存在が忘れられにくい
  • 公証人への手数料が財産額に関係なく一律11,000円

デメリット

  • 形式で不備があると無効になる
  • 家庭裁判所の検認が必要
  • 保管は自分のため、紛失の可能性がある
  • 公証の証人が2人必要

その他の遺言書

上記3つの遺言書の他に、緊急用の遺言書がありますが、限定的なので気にしなくていいでしょう。

  • 一般危急時遺言・・病気などで死が迫っているときの遺言書
  • 難船危急時遺言・・・飛行機などが遭難して死が迫っている時の遺言書
  • 一般隔絶地遺言・・・伝染病で隔離されている時の遺言書
  • 船舶隔絶地遺言・・・船の中にいて一般の人と連絡が取れない時の遺言書

遺言書を作成したほうが良いケース

遺言書を作成する理由としては、大きく分けて、争続対策と故人の最後の意思表示です。

争続対策

  • 愛人の子供がいる
  • 不動産など分けづらい財産が多い
  • 相続人として不適格な人間がいる

故人の最後の意思表示

  • 世話をしてくれた人に多く残したい
  • 愛人にも財産を残したい
  • 財産を慈善団体に寄付したい

3つ遺言書の作成ポイント

遺言書の種類ごとに作成のポイントは少しずつ違いますので、それを遺言書ごとに紹介します。

ただし、共通して気をつけるポイントもあります。それが「遺留分の侵害」です。

遺留分を侵害する遺言は争続のタネ

相続人には最低限保証されている部分があります。

そのため、「遺言書で誰か一人にすべて相続させる」と残しても、他の相続人の遺留分を侵害することになります。

他の相続人が納得すればよいですが、納得しない場合は、相続人は「遺留分の減殺請求」をすることになり、争続に発展する可能性があります。

争続を回避する点からも、遺留分を侵害しない遺言書の作成が重要になります。

遺留分の割合

  1. 相続人が直系尊属だけの場合・・・・法定相続分の1/3
  2. それ以外の場合・・・法定相続分の1/2
    ※兄弟姉妹には遺留分の権利はありません
(例1)配偶者と子供2人の場合

配偶者 1/4│子 1/8(1/4✕1/2)

(例2)父母だけの場合

父 1/6│母 1/6

自筆証書遺言は簡単だからこそ準備が大事

自筆証書遺言のメリットは簡単なことです。だからこそ次の点は気をつけましょう。

  • 自分ひとりで書く ※代筆は不可
  • すべて手書き ※パソコン・録音・録画は不可
  • 作成した年月日を入れる ※日付がないと無効
  • 用紙は白の無地を使用する ※チラシの裏は不可
  • 文房はペンまたはボールペン ※鉛筆は不可
  • 訂正したら二重線と訂正印が必要 ※ミスしたら書き直したほうが良い
  • 不動産は「相続させる」と書く
  • 署名押印すること(認印でも可)※夫婦連名は不可
  • 封筒に入れて、封印する

自筆証書遺言の誤りやすいポイント

相続人の名前や、不動産の地番、預金の口座番号などミスしやすいポイントがあります。

ミス防止のために、住民票や登記簿謄本、通帳を準備して確認しながら書きましょう。

また、作成した遺言書は、改ざん、隠蔽されないように注意しましょう。

だからといって、自分でもどこに保管したか忘れたり、紛失しないように貸金庫などに保管しましょう。

(遺言書のサンプル)
キャプチャ 遺言書(見本)

公正証書遺言の作成の4つの流れ

公正証書遺言は一人で作成できないため、それなりの準備と手続きが必要です。

その1.必要な書類を準備する

  • 不動産の登記簿謄本・・・市区町村役場や都税事務所で取得可能
  • 戸籍謄本・・・法務局で取得可能
  • 実印と印鑑証明書・・・市区町村役場で取得

その2.証人2人を決める

基本的に自由に決められますが、次の人はなれません。信頼できる人(弁護士など)にお願いしましょう。

  • 未成年者
  • 推定相続人受遺者 ※その配偶者及び直系血族を含む
  • 公証人の配偶者4親等内の親族書記雇い人

その3.事前に遺言書の内容を決め、公証人に依頼

遺言書の内容は事前に決めておきましょう。

住所の近くの公証役場に連絡して日程を決めます。

公証役場の所在地は、日本公証人連合会の「全国公証役場所在地一覧」で検索できます。

その4.公証役場で遺言書の作成

日程を決めたら、当日は、証人2人と公証役場へ向かいます。

遺言書の作成方法は、遺言者が公証人の前で遺言書の内容を述べ、公証人がそれを代筆します。

最後に、遺言者と証人が署名して完成します。

なお、遺言者が寝たきりなどで公証役場へ行けない場合は、公証人が出張してくれす。(日当と手数料が発生します。)

公正証書遺言を書きなおす場合

公正証書遺言で作成しても、書きなおすことは可能です。

ただし、再度、公証役場に行く必用があるため、最初の作成時点でしっかりとした打ち合わせが必要になります。

秘密証書遺言書はハイブリッド型

秘密証書遺言書は自筆証書遺言と公正証書遺言のハイブリッドになります。

  1. 自分で遺言書を作成 ※署名以外はパソコンや代筆でも可
  2. 証人2人と共に公証役場へ遺言書を持っていく
  3. 公証人に遺言書を公証してもら
  4. 遺言者と証人が署名して完成

※亡くなるまで遺言書は自分で保管
※亡くなったら遺言書を家庭裁判所の検認へ

まとめ

遺言書の3つの種類と、それぞれの書き方のポイントを紹介しました。

最近は遺言書キットというものも販売されています。

指示に従いながら進めると遺言書が完成するものです。

しかし、財産の網羅性や保管方法、書きなおした場合の処理などに不安が残ります。

遺言書を残すと決めたら、やはり公正証書遺言がベストの選択になります。

遺言書キットは、家族と相談しながら財産の把握と家族への気持ちの確認で一緒に書き、本番は公正証書遺言で残すというのはいかがでしょうか。

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