公平な遺産分割を目指すために必要な3つの考え方

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

誰でも遺産分割でのトラブルはできるだけ避けたいと思います。

それでも、遺産分割でトラブルが起こることがあります。

その理由のひとつに、法定相続分と実際の相続分とのギャップがあります。

「あいつは贈与を受けていたはずだ」「自分はもっと貰えるはずなのに」などの感情があります。

そこで、遺産分割協議で揉めないために、公平に遺産分割する3つの考え方とその計算方法を紹介します。

原則は法定相続分で分割

まず遺産分割協議の原則は、法定相続分による分割です。

法定相続分は、相続人によって変動しますが、相続人は誰でもなれるわけではありません。

配偶者は常に相続人ですが、配偶者以外は優先順位が高い人が相続人になります。

  • 配偶者:常に相続人
  • 第一順位:子や孫
  • 第二順位:父母や祖父母
  • 第三順位:兄弟姉妹や甥姪

なお、法定相続人と法定相続分は、過去の記事「誰でもできる相続人判定シートで相続人と相続分をチェック」をチェックしましょう。

遺産分割では、相続人と相続分の把握をすることから始めましょう。

その1.遺産分割財産の時価と相続税評価額のズレに注意

遺産分割協議で財産目録を使う場合、その表示金額が時価であるか相続税評価額であるかに注意しましょう。

時価と相続税評価額が離れすぎている場合は、公平な遺産分割ができない可能性があります。

相続税の計算では、相続税評価額を使いますが、遺産分割協議では、現在の時価も検討する必要があります。

上場株式の相続税評価額は、亡くなる前の時価で評価する

たとえば、上場株式の相続税評価額は、4つの時価うちの最も低い金額(亡くなった日の時価と過去3ヶ月の平均時価)と株数で算定します。

しかし、遺産分割協議は、亡くなった後のため、どの時点の時価を採用するかで相続分が変わってきます。

亡くなった後に株価が暴落していたとしても、相続税評価額は高いまま評価されてしまいます。

不動産の評価額は、取引時価よりも低い

土地や家屋の評価に使われる「路線価」や「固定資産税評価額」は、実際の売買で使われる「公示価格」の7割から8割と言われています。

また、相続税の計算では、事業用と居住用の土地は、評価額を最高で8割減額できる特例があります。

もし、特例を使った後の相続税評価額で分割してしまうと、実際の取引時価で分割した場合に比べて、相続分がかなりズレてしまいます。

その2.生前に多額の贈与を受けていた場合(特別受益)

特別受益

亡くなった人が生前に、相続人に贈与をしている場合、その分を考慮せずに分割すると、相続人の間で不公平が生じます。(特別受益)

特別受益には、結婚資金や開業資金、住宅取得資金など「婚姻又は養子縁組のため、もしくは生計の資本としての贈与を受けた財産」が該当します。

公平な遺産分割をするためには、亡くなった時点の遺産だけでなく、生前に受けた特別受益を持ち戻して分割することが重要です。

特別受益の計算方法

特別受益を遺産分割で調整するには、次の算式で計算します。

(相続開始時の財産+特別受益分)×法定相続分-特別受益分

【特別受益の計算例】

相続開始時の財産5,000万円
配偶者A
子供B 特別受益1,000万円(住宅取得資金)
子供C 特別受益なし

配偶者A (5,000万円+1,000万円)✕1/2=3,000万円
子供B (5,000万円+1,000万円)✕1/4-1,000万円=500万円
子供C (5,000万円+1,000万円)✕1/4=1,500万円

特別受益は遺言書に記載してOK

特別受益を、遺産総額に持ち戻すかどうかは、相続人の判断の判断によります。

しかし、被相続人が遺言書に、特別受益を遺産に含めない旨を記載して残しておくこともできます。

その3.亡くなった人の介護していた相続人がいる場合(寄与分)

寄与分

亡くなるまで被相続人の介護をしていた相続人に対して、相続分に貢献分を加算する寄与分という考え方があります。

民法では寄与分の対象を、「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付,被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」場合に限定されています。

公平な遺産分割をするためには、自分の主張だけでなく、相続人の貢献度を尊重することも重要です。

ただし、寄与分は相続人に限定されているため、内縁の妻は権利を主張することができません。

寄与分の計算方法

寄与分を遺産分割で調整するには、次の算式で計算します。

(相続開始時の財産-寄与分)×法定相続分+寄与分

【寄与分の計算例】

相続開始時の財産5,000万円
配偶者A
子供B 長年介護してきた貢献分として1,000万円の寄与分を調整することで合意
子供C 寄与分なし

配偶者A (5,000万円-1,000万円)✕1/2=2,000万円
子供B (5,000万円-1,000万円)✕1/4+1,000万円=2,000万円
子供C (5,000万円-1,000万円)✕1/4=1,000万円

遺言書に寄与分を記載してOK

遺言書に記載して良い項目の一つに、寄与分があります。

そのため、被相続人が生前に介護で世話になった相続人に対して、寄与分を遺言書で残すことも可能です。

なお、寄与分を考慮する理由を書いておくことでトラブルを回避しやすくなります。

まとめ

公平な遺産分割をするために、「採用する時価の違い」「特別受益」「寄与分」を紹介しました。

公平の考え方は、見方によって変化するということを理解しておくことが重要ではないでしょうか。

それでも遺産分割協議でトラブルになった場合は、弁護士に相談したり、家庭裁判所の調停という方法もありますが、円満な遺産分割を目指したいものです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

相続対策の基本をまとめた「おすすめ相続対策ebook」を無料進呈

相続税に対して不安を持っていませんか?

2016年から基礎控除が下がり、改正前から5割ほど申告する人が増えると予想されています。

しかし具体的な対策をしている人は多くありません。その理由は・・・・

  • ◆ 10年あるいはそれ以上先のことで、考える余裕が無い

  • ◆ 不安はあるけれど、何をしたらいいのか分からない

  • ◆ 生前贈与して、税務署から贈与税の指摘を受けたら怖い


それでも、いざ相続が発生し、税務署から「相続税のお尋ね」が郵送されると、多くの方が驚きます。

そうならないためにも、相続税の基本は知っておくべきです。

また、相続税は、亡くなるまでの期間が長いほど大きく税金を減らせるのが特徴です。

少しでも相続に興味のある方は、まず「相続税の基本」「最新の相続対策」を25ページでまとめた『相続対策ebook』を読んでみてください。

メールでお問合せ頂ければ、無料でPDFを進呈します。

是非、本書を読んで相続対策の第一ステップにしていただけたら幸いです。

無料│相続対策ebook

SNSでもご購読できます。

読んだらポチッとしてね