暦年課税贈与と精算課税贈与の違いと正しい活用法

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相続対策として有効な生前贈与ですが、実は2種類あります。

ひとつは一般的にイメージしている「暦年課税贈与」、もうひとつは相続税特有の制度の「相続時精算課税贈与」です。

この2つの贈与には、それぞれ特徴があるため、その特徴を理解することで、上手な使い分けができます。

そこで、「暦年課税贈与」と「相続時精算課税贈与」のそれぞれの特徴と、どのような時に使うことで有効になるかを紹介します。

暦年課税贈与

暦年課税贈与

制度の概要

そもそも贈与とは、あげる人と貰う人の両方の合意があって成立するものです。

合意に基づかな一方的な贈与は、贈与になっていない可能性があるので注意しましょう。

暦年課税贈与は、1月から12月までの1年間で、贈与を受けた金額の合計額が基礎控除額110万円を超える場合に、贈与税の申告が必要となるものです。

贈与を受けた金額の合計額が基礎控除額以下であれば、申告は必要ありません。

暦年課税贈与の税率

暦年課税贈与の税率は、2種類あります。

ひとつは、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用する特例税率です。

もうひとつは、上記以外の贈与で使用する一般税率です。

税率の速算表は、国税庁のホームページ(外部リンク)を参照しましょう。

高齢者の財産を若い世代に移しやすいように、一般税率より特例税率の方が低くなっています。

なお、特例税率による贈与税の申告書には、直系尊属との関係性が分かるように戸籍謄本等を添付することになっています。

相続税の発生前3年分の贈与は加算対象

暦年課税贈与は、贈与が成立した時点で、贈与財産はもらった人のものです。

ただし、脱税まがいの節税を許さないため、被相続人が亡くなる前の3年間の贈与は、相続財産に加算して相続税を計算します。

ただし、贈与税を支払っていた場合は、算定した相続税から、既に納付した贈与税額を控除できます。これを贈与税額控除といいます。

暦年課税贈与の使い所

暦年課税贈与の特徴は、毎年110万円の基礎控除が使える点と、相続財産に加算するのは亡くなる前の3年間に限定されている点です。

そのため、数年間から10数年の長期間で、基礎控除の範囲内で贈与することで、トータルで大きな効果を生みます。

名義預金と連年贈与の注意

長期的な贈与で効果を発揮する暦年課税贈与ですが、注意しなければならないのが、「名義預金」「連年贈与」です。

名義預金は、配偶者や子供名義の預金口座に、一方的に預金を移すもので、贈与が成立していません。

そのため、名義預金は、亡くなった人の財産として課税されます。

連年贈与は、贈与は成立していますが、「10年間で1,000万円贈与する」など年数と金額を指定する贈与で、基礎控除額110万円を超える可能性があるので、注意しましょう。

関連記事「相続対策にならない名義預金と連年贈与の6の注意ポイント」

相続時精算課税贈与

相続時精算課税贈与

制度の概要

相続時精算課税贈与は、文字通り相続時に贈与財産を精算する贈与です。

暦年課税贈与は相続財産に加算するのは、亡くなる前の3年間限定でしたが、相続時精算課税贈与はすべての贈与財産を相続財産に加算します。

しかし、控除限度額が累計で2,500万円と大きく税率は20%と一律です。

その他にも、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の推定相続人である子又は孫にたいする贈与に限定していたり、条件が多くなっています。(詳しくは、こちら

相続時精算課税贈与は2,500万円以内の贈与も申告が必要

暦年課税贈与は、基礎控除額の範囲内だと申告が不要でした。

しかし、精算課税贈与は2,500以内の贈与でも、すべて贈与税の申告が必要になります。

相続時精算課税贈与を選択すると、暦年課税贈与は使えない

相続時精算課税贈与を一度でも選択してしまうと、暦年課税贈与は使えなくなってしまいます。

そのため、相続時精算課税贈与は、ここぞの場面で選択する特殊な贈与になります。

相続財産に加算するのはすべての贈与財産

先述のとおり、相続が発生した場合は、すべての精算課税贈与財産が加算されます。

ただし、暦年課税贈与と同じく、既に納付済みの贈与税額は控除できます。

相続時精算課税贈与の使い所

暦年課税贈与に比べて、かなり特殊な相続時精算課税の特徴は、特別控除額が2,500万円と大きい点と、相続時にすべての贈与財産を加算する点です。

そのため、相続税が発生する人にとっては、いくら贈与しても相続税の対象になるため、節税にはなりにくことが分かります。

そこで、相続時精算課税贈与の使い所としては、次の2点になります。

  • もとから相続税が発生しない人にとっては、2,500万円まで無税で贈与が可能
  • 賃貸物件など大きなものを贈与する場合に有効

まとめ

タイプの違う2種類の贈与(暦年課税贈与、精算課税贈与)を紹介しました。

おおまかに言うと、コツコツ型の暦年課税贈与と一括型の精算課税贈与というイメージです。

それぞれの特徴と、リスクを理解して、自分に合った贈与を選ぶ必要があります。

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